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 | モジュラー型サーバーではじめるPowerEdge MXのすゝめ
       ~MXシリーズの中身②~
   
       
   
       
   
    





みなさま、こんにちは。今回でPowerEdge MXシリーズとしては第四話目となります。
早速ですが、前回の続きの話をしていきたいと思います。今回はI/Oモジュールとファンに関して話を進めていきます。


● I/Oモジュール

エンクロージャー背面(赤枠の箇所)にI/Oモジュールが搭載されます。I/OモジュールはFabric A / B / Cと3つに区分されます。各Fabricには最大2つのI/Oモジュールを搭載することができます。Fabric AとFabric Bはネットワークスイッチが搭載可能で、Fabric Cはストレージスレッドを搭載する際に必要となるスイッチモジュールとFC専用のスイッチモジュールが搭載可能です。PowerEdge MXシリーズを動かすためには最低でもFabric Aに1台のスイッチが必要となりますが、全Fabricにスイッチを全て搭載する必要はなく、要件に応じてFabric A / B / Cにそれぞれ最適なスイッチモジュールを選択して、搭載することになります。




I/Oモジュールの特徴として、ネットワークスイッチに関してはSmartFabricという機能を利用することができ、従来のBlade型サーバーでは設定が手間といわれたスイッチの設定がGUIで簡単に設定できるようになっています。SmartFabric機能を使った設定方法については後で説明していきたいと思いますが、ひとまずSmartFabricという単語だけ押さえておいてください。なお、スイッチの設定については、SmartFabric機能を利用することが必須というわけではなく、CLIで設定する方が慣れているとか、CLIで細かく設定を入れたいという場合にはCLIでの設定が可能です。但し、SmartFabricによるGUI設定操作とCLIでの設定操作は両立てきるわけではなく、どちらかを選択して利用いただく必要があります。(SmartFabricを使っている場合であっても、GUIで設定が困難な設定について一部CLIコマンドによる設定が可能になっています。)

なお、スイッチのラインナップは現在(2019年6月現在)以下のようなラインナップとなっております。




スイッチはパススルー型のものから、100Gbのインターフェースを持ったスイッチまでラインナップしております。また下の2つはストレージスレッドを搭載する際や専用のFCスイッチを使ってストレージと接続したい場合に利用するスイッチになります。

データセンターにおけるネットワークトラフィックは一般にEast-West型のネットワークトラフィックが非常に多いと言われますが、PowerEdge MXシリーズに搭載したこれらのスイッチは急増するネットワークトラフィックに耐えうる十分なスイッチ性能を有しています。特にMX9116nというスイッチは、エンクロージャーを複数台つないでマルチシャーシ構成として利用する場合に、コアスイッチとなるスイッチになります。多数のサーバーからの通信がこのMX9116nというスイッチを経由することになるため、スイッチとしての性能が十分なものでなければ、サーバー台数の増加には耐えられないことになってしまいます。また、このMX9116nというスイッチは性能だけでなく、インターフェース(外部ポート)も十分に備えているため、ラックサーバーの接続先のスイッチとしても利用ができます。以下のようなイメージで利用できます。




PowerEdge MXシリーズは単にHWスペックの高さという話だけでなく、上記でも触れたSmartFabricを使ったネットワークの管理ができる点が大きな特徴と言えます。従来のBlade型のサーバーでVLANを一つ追加しようとしただけで、びくびくしながらコマンド操作をして、こんなことはもうやりたくないと思った方であっても、このSmartFabric機能を使うことで簡単にネットワーク設定や変更・削除が可能です。こうしたシンプルな操作で設定ができるというのは運用者目線では重要な話だと思います。

PowerEdge MXシリーズのようにエンクロージャーにサーバーとネットワークスイッチを収容する製品については、サーバーとスイッチが必ず接続される形となり、互いを切り離して利用することはできません。そのためスイッチ選びにも気を使いたいところですが、PowerEdge MXシリーズに搭載するスイッチの選び方についても別の機会にご紹介できればと思います。


● ファン

冷却用のファンはエンクロージャー前面と背面(赤枠の箇所)に搭載されます。前面に4つ、背面には5つのファンが搭載されます。




ファンが前面と背面に搭載されていることでエアフローが気になるところですが、PowerEdge MXシリーズは、前面で吸気し、背面か排気されるように作られています。エアフローについて図で示すとこのような形になっています。




Zone1はコンピュートスレッドとストレージスレッドを冷却するゾーンを示しておりますが、前面から吸気し、エンクロージャーの背面にあるファンで温かくなった空気を吸って、エンクロージャー背面から排気されるように実装されています。
Zone2はI/Oモジュールを冷却するゾーンを示していて、エンクロージャーの正面にある4つのファンが吸気し、エンクロージャー背面から排気されるように実装されています。
Zone3はPSUを冷却するゾーンとなりますが、こちらも前面で吸気し、背面に排気されるようになっています。
ファンの位置から、一見するとエアフローが分かりにくいようですが、前面吸気、背面排気という仕様になっておりますので、設置する際には前面から冷たい空気を吸い込めるようにラックマウントするようにしてください。

ここまでPowerEdge MXシリーズの大まかな製品やパーツについてご紹介してきましたが、PowerEdge MXシリーズに含まれる各種製品の仕様については、以下のリンクを参照ください。

・PowerEdge MX7000モジュール式シャーシ
 https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/povw/poweredge-mx7000
・PowerEdge MX740cコンピューティング スレッド
 https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/povw/poweredge-mx740c
・PowerEdge MX840cコンピューティング スレッド
 https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/povw/poweredge-mx840c
・PowerEdge MX5016sストレージ スレッド
 https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/povw/poweredge-mx5016s
・Dell EMC PowerEdge MXスイッチ
 https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/povw/poweredge-mx7000-switch

詳細な技術資料が必要な場合は、製品サポートページで製品面を入力して検索すると色々な資料を入手することができます。
https://www.dell.com/support/home/jp/ja/jpbsd1?app=products&~ck=mn




PowerEdge MXのHWの紹介はここまでとなります。今回はおまけでちょっと読み物をご用意していますので、ご興味のある方は読んでみてください。


■ おまけ

モジュラー型製品のPowerEdge MXシリーズが登場するまでのモジュラー型の前身ともいえるBlade型のサーバーの歴史から少し振り返ってみたいと思います。旧来のBlade型サーバーは登場した当時は省スペースや高集約、サーバーの集中管理を謳い、また仮想化技術が徐々に採用されていく時代背景も相まって、Blade + 仮想化という提案でよく活用されていました。仮想化技術によるサーバーの集約とBladeの高集約というコンセプトがマッチしたのだと思います。各メーカーがこぞってBlade型の筐体を開発して市場に投入していっていたのをよく覚えています。後発のメーカーは他社製品をよく研究して、先行しているメーカーにはない機能を実装して差別化を図り、実案件の提案段階でその固有の機能を活用した仕様書縛りがされているケースなどもよく見ておりました。“サーバー3台買ったら、シャーシはタダ!”とか“Bladeシャーシ、xx円キャンペーン”なんていう販促キャンペーンもよく見かけました。とにかくBlade型のサーバーを活用してインフラ環境を変えていこうという話で、ハードウェアメーカーがこぞってBlade型の製品に注力していたように思います。そんな状況であったのも、ちょうど2006年くらいから2008年頃がピークでしょうか。私も当時はBlade + 仮想化 + 共有Storageといった組み合わせでよく構築をしておりましたし、検証用の機材もまさにこの構成で使っていましたので、このBlade型サーバーにはとってもなじみがあります。

当時からBlade型サーバーは200V電源を使用することの敷居はありましたが、それ以上に上で触れたようなBlade型のメリットというのが評価されて利用されていたと思います。Blade + 仮想化によって、データセンターや自社のサーバールームに置かれた大量の物理サーバーをとにかく減らすといったことが積極的に行われていた時期だったと思います。HWが減ることで消費電力を減らせますし、省スペースも実現できます。ですが、サーバーの集中管理ができる管理機能は使えるようになり、サーバーの集約率も上がったけども、一方でHW構成の複雑性が増してしまって、よく仕組みが理解できないという方をたくさん生んでしまったという事実もあるかと思います。その後も新しい世代のBlade型サーバーが登場してきておりましたが、メリットと言われていた部分よりも高集約が故の拡張性の乏しさやサーバー、ネットワーク、ストレージという組み合わせを考えたとき、Blade型サーバーはラックサーバーよりもどうしてもコンポーネントが増えてしまうことで、複雑性が増すとか障害点が増えるというようなネガティブな声が増えてしまったこともあり、ブームは去っていきました。

そんなBlade型サーバーの全盛時代から10年以上経った2018年の9月に登場したPowerEdge MXシリーズですが、当時のBlade型のサーバーが実現しようとしていたこととPowerEdge MXがこれから実現しようとしていることは全く異なります。それは、最初にお話ししたGen-Zの話もその一つですが、この製品はDell Technologiesのクラウド戦略にも関係しています。Dell Technologiesのクラウド戦略はオンプレミスとクラウドを組み合わせて使うハイブリッドクラウドを前提として考えておりますが、このハイブリッドクラウド環境を下支えするハードウェアの一つとしてPowerEdge MXシリーズが存在します。Dell Technologies のクラウド戦略においては、VMware Cloud Foundation(以下VCF) が重要な要素になっていますが、このVCFを動かす基盤としてPowerEdge MXシリーズが選ばれているわけです。VCF on MXを使って各種のクラウドサービスと相互に行き来できる環境を実装し、オンプレミス、クラウドそれぞれで適切なワークロードを適切な場所で動かせる世界を実現しようとしています。この話は決して絵に描いた餅というわけではなく、すでに実際に実装可能なようにドキュメントも公開されているところからも嘘ではないということは理解いただけるかと思います。 PowerEdge MXシリーズは見た目が従来のBlade型サーバーと同じなので、「なんだBladeサーバーか」と思われがちですが、以前とはITを取り巻く環境が全然違いますし、見た目だけではその価値が判断できない製品になっています。従来のBlade型サーバーにはない運用者目線で考えられた機能も実装されていますし、従来のBladeサーバーとは異なります。そういう事情を知ったうえでPowerEdge MXシリーズを見ていただけると、興味をもっていただけるなぁと思いまして、最後にお話しをさせていただきました。

ということで、2回にわたりPowerEdge MXシリーズのハードウェアについてお話させていただきました。次回以降は製品の機能をご紹介していきながら、PowerEdge MXについての理解を深めていただければと思います。

パートナーセールスエンジニア 川奈部 真



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