沖縄科学技術大学院大学
国際的に卓越した科学技術に関する教育及び研究を実施することにより、沖縄の自立的発展と、世界の科学技術の向上に寄与することを目的として設立された沖縄科学技術大学院大学(OIST)。
増加する人工知能を活用した研究ニーズに応えるべく、OISTではGPGPUサーバーとして2017年に初めてGPUパワーを最大限活用できるDell EMC PowerEdge C4130を採用し、多彩な研究の基礎となるデータ分析の統合基盤として利用している。システムの名称は「Saion」、その名は18世紀に中国に留学して実学を学び、のちに近世琉球王国を代表する政治家となった蔡温に由来している。
OISTの基本理念には、世界最高水準(Best in the World)で柔軟性(Flexible)や国際性(International)であること、世界的連携(Global Networking)を目指し、産学連携(Collaboration with Industry)をもって知的・産業クラスターを形成することが掲げられている。そのOISTが選んだx86サーバーが、世界No.1シェアのDell EMC PowerEdge。多くのグローバルユーザーに採用されているPowerEdgeは、日本でも市場シェアを急拡大中である。OISTがPowerEdgeサーバーを導入するに至ったきっかけや、利用している中で感じていることを聞いてみた。
PowerEdgeサーバー採用の背景
人工知能(AI)共通基盤の構築
これまでOIST内では、それぞれの研究室が独自で解析用のハードウェアを調達するような場面や、独自にアプリケーションをプログラムして個別に対応するようなケースも見られた。こういった個別最適な対応からオープンでシステムを最適化できるように、OISTは高まるニーズの機械学習、深層学習のためのAI共通基盤の構築にふみきった。
PowerEdge C4130のもつGPGPUの搭載パワーが、これまで蓄積した膨大なデータを迅速に処理し、研究室ごとに独自システムを立てなくてもよくなったのである。それぞれの研究室ごとに実行される計算が異なるため、研究のボトルネックは、自分で出来る解析の規模は各自の持つシステムに委ねられることにあった。
それが共通基盤から必要なリソースを活用し、膨大なデータを共通ストレージから共有できるようになったことで、研究室ごとに出来ることの差異がなくなった。機械学習においても、すべての分野でフレームワークを選ぶだけで多様な研究に対応可能になった。そしてシステムがオープン化されたことで、OISTがもつ研究室間で自然にコラボレーションするという特性が、システムでも実現できるようになったのである。
PowerEdge C4130
総所有コスト(TCO)の削減とあるべき姿の実現
個別なシステムの構築やパーツの調達から、システムを集約することで劇的にコスト削減効果も生まれた。利用率も非常に高く、ほぼすべてのユーザーはストレージにアクセスし、計算クラスターの利用者も300名を超す。研究員が購入する手間の削減や、資源を有効に活用できるようになった恩恵は大きい。
またそれに加えて、システム全体の一貫した保守を受けられるようになったことも大きい。そしてシステム環境へ様々な配慮をしなくてよくなったことや、全体的な工数の削減により、本来のあるべき姿である「研究へ集中すること」が可能になった。
PowerEdgeサーバーを利用して
Dell EMCのサポート体制への高い評価
OISTがサポートについて考えるとき、大切なことは「プロセス」があることである。これは必ずしもどのハードウェアベンダーのサポートでも実現出来ている訳ではないと言う。この「プロセス」があることによって、ユーザーの手間がかからず、楽であり助かることにつながる。
例えばファームウェアをアップデートする場合やソフトウェアが動作しない場合でも迅速かつ的確に支援が得られること、保守に関わるレスポンスの良いことを挙げる。またときには曖昧な要求でも、理解して解決に導くことも大きい。そして関連するサポートの情報もウェブサイトで分かりやすく整理されていることもユーザーにとっては大変ありがたいことだと語る。
PowerEdgeサーバーのユーザー目線の設計
過去にOIST自身で緊急にシステムを構築しなければならない状況になったことがある。ハードウェアそのものが「設置する人」のことを考えられていると感じたのは、サーバーをラックへのマウントする際のことである。
他社のサーバーでは一日で数台しか出来なかった作業が、マウントのためのツール類の用意、解説の容易さから、2017年度PowerEdgeによる「Saion」システムの導入に際しては、サーバー15台がわずか3時間ほどで設置を完了することが出来た。
そして運用・管理の面では、管理ソフトウェアがシンプルで、単一のソフトウェアに集約されていることが大きなメリットとして挙げられる。トラブルシューティングする側にとって大変ありがたいことであり、モニタリングも遠隔地から容易に行われるため、かつてサーバーの隣に居ないと心配だったこともあったが、PowerEdgeになり安心して自宅に帰れるようになった。
安心できるコールセンターとオンサイトサポート
Dell EMCのサポート要員と会話して嫌な思いをしたことがない。これはDell EMCでは過去の対応がすべてログとして残っており、経緯も理解されている。他社では、あたかもユーザー側に問題があるか = それはあなた側の問題ではないか? = のように疑われるようなことさえもあった。
またオンサイトの技術員のスキルも高い。最後までやり遂げる姿勢は、例えば他社では作業後にケーブルを元に戻さないようなケースも経験したことがあるが、そのようなことは一切なく、「プロセス」が機能していると感じている。
ここ沖縄の地でも充実したサポートを享受できている。情報共有が徹底されている証である。必ずしもハードウェアの管理に多くの時間を割けない状況のなか、これは大変ありがたいことで、あたかもDell EMCにアウトソースしたかのようにさえ感じる。米国駐在時にもPowerEdgeを使っていたことがあるが、当時からこのスムーズさは変わっていない。
Dell EMC宮崎カスタマーセンター
今後のPowerEdgeのさらなる進化にも期待
PowerEdgeには最先端のテクノロジーを大いに活用して欲しい。またCPUやGPUの活用度がますます今後も増えていくと考えられる中、これまで以上に発熱対策やより効果的な冷却が求められてくる。
第14世代PowerEdgeサーバーでは、自動的に最適な空冷がDell EMC特許技術のマルチベクタークーリングでインテリジェントに実現できたが、さらに将来はPowerEdgeの水冷式ソリューションにも期待している。
ユーザーの声
科学計算および
データ解析セクション
セクションリーダー
タユフェール・エディ 博士
(工学)
デルのサポートについて嫌だと思ったことは一度もありません。カスタマーセンターの社員は、こちらがぼそっと話した一言や曖昧な理解も様々な可能性を想定してサポートしてくれます。デルのマシンを扱っていると、次のフローにいくのがプロセスにしかならないというのがすごく助かっていて、「あれ、ちゃんとやったかな?」というのがないというのが素晴らしいと思います。
科学計算および
データ解析セクション
HPCおよび研究用
コンピューティングエンジニア
田仲 康司 氏
株式会社エイジア
メールをはじめとする多様なチャネルで、マーケティングコミュニケーションを実現。主力製品のCRMアプリケーションシステム「WEBCAS(ウェブキャス)」シリーズを主力事業とするエイジア。
近年企業が取り組むマーケティングコミュニケーションは多様化・複雑化しており、これまで以上に充実したツールが求められている。「顧客データベースを活用したOne to Oneメッセージを、よりタイムリーに多様なチャネルで届けたい」という企業からの要望は高まるばかりだ。
エイジアは、自社開発のメール配信システムにおいて大量配信、高速処理を強みにしてきたが、その強みを伸ばし大規模なマーケティングキャンペーンの展開を可能にする新しいインフラ基盤を構築するための機器として、Dell EMC PowerEdgeサーバーを選択した。PowerEdgeサーバーは世界シェアNo.1で日本でも市場シェアを順調に伸ばしている。エイジアがPowerEdgeサーバーを導入するに至ったきっかけや、利用している中で感じていることを聞いてみた。
PowerEdgeサーバー採用の背景
大量処理、大規模キャンペーンにも耐えうる次世代基盤の構築
これまでの環境はいわゆるサーバー、ストレージ、ネットワークによる3階層アーキテクチャーで構成されていた。iSCSIの通信が途絶えて予期せぬフェイルオーバーが発生したり、ヘアピン通信の発生でネットワークリソースが十分活用出来なくなったり、I/Oについても満足できるパフォーマンスが発揮出来ていないといった課題を抱えていた。
システムの老朽化とも相まって、2017年頃より今後の市場のニーズを見据えた次世代インフラ基盤構築の検討を開始した。クラウドサービスのセキュリティ強化を日々推進していることもあり、充分に対策がされているデータセンターの検討及び、次世代のシステム基盤の構築が求められた。
当初はHCI、VSAN、NSXに注目してセミナーなどに積極的に参加し情報収集も行ったが、保守性の高さと管理性の容易さからVSANとNSXの技術が最も自社に適しているであろうという決断に至った。そこで導入される300VM程度を動かす次世代基盤としては、これまで利用しており壊れにくく安定稼働しているPowerEdgeサーバーを採用することを決意した。
そこでの課題は、インターネット回線を増加して安全なネットワーク領域DMZ(非武装地帯)を確保してきているこれまでの環境を崩さずに、新しい環境をNSXで実現したいということ。検討を進める中で、Dell EMCの担当チームがきめ細やかに要件を汲み取り、設定や構成についてアドバイスをしてくれたことで課題解決に大いに役に立った。その結果、大量処理、高速処理、ネットワークの増強といった要件を実現し、フロントで1Gbの通信も確保もできた。
PowerEdge R740
PowerEdgeサーバーを利用して
継続利用の決め手、高い製品品質
エイジアでは2012年からPowerEdge R710からR720、R730、R740と700番台シリーズのPowerEdgeを、世代が替わっても続けて導入している。その理由として、ハードウェアの高い信頼性が挙げられる。これまで経験した障害は数えるほどしかなく、「壊れにくい、安定しているサーバー」であると認識している。
サーバーへの安心感は障害が起こりにくいことだけではなく、サーバー管理システムであるiDRAC(integrated Dell Remote Access Controller)も使い勝手の良さを感じている。ハードウェアのシステム稼働状況が、リアルタイムで簡単に把握できることは大変気に入っている点でもある。
Dell EMCのサポート体制への高い評価
サポート面で一番良いと感じている点は、エンタープライズ向け Dell EMC ProSupport Plusサービスが充実していること。一番想い出深いエピソードとして、ネットワーク機器の設定がうまく出来なかったときにその設定方法を詳しく説明してもらい、その回答が迅速であったことにより計画されたサービスインの納期に間に合わせることが出来たことを挙げる。
またこれまでトラブルの発生時にはその素早い対応スピードに助けられており、高い保守の品質から社内向けシステムにはほとんどすべてPowerEdgeサーバーが利用されている。Dell Technologiesの一員でもあるVMwareの保守サポートについても窓口が一本化されていることで、問い合わせコストが大いに軽減されていると感じている。
切り分けが困難なトラブルが発生しても、どこに問い合わせしたらいいのか悩んでしまうこともなく、問い合わせ窓口が一本化されていることで運用効率が向上している。
PowerEdgeテクニカルセミナー「宮崎キャンプ」に参加して
大量処理大規模キャンペーンにも耐えうる次世代基盤の構築
Dell EMCでは、PowerEdgeのご導入を検討中のお客様を中心に、DellのクライアントPCやサーバー、ストレージ製品をサポートするコールセンターの拠点、宮崎コールセンター(MCC)にお招きし、製品の優位性だけではなくサービスサポートの実力を見学いただく、PowerEdgeテクニカルセミナー「宮崎キャンプ」を定期的に開催している。2018年11月にその宮崎キャンプに参加し、元来Dell EMCは保守の品質は高いという印象だったが、Dell EMC社員が実際に真摯にサポートをしている現場を見学することで、より一層信頼できる会社だという思いを新たにした。特にDellの創設者であるマイケル・デルは1984年PCの保守管理会社としてビジネスをスタートさせたという逸話や、カスタマーセンターの現場を見て、かつては保守員だった自分を重ね懐かしさも覚えた。カスタマーセンターにはリアルタイムでTwitterやSNSを常時閲覧している専任部隊がいて、そこで見つけた「トラブルが発生している最中のお客様」に担当者が直接連絡を取ることもあると聞き、そこまで徹底して対応しているという事実は衝撃的でもあった。センターの壁一面にはIT関連資格取得者の写真が並び、社員一人一人の技術の高さを思わせ印象的だった。
今後のPowerEdgeのさらなる進化にも期待
自身も運用面でAIの活用を検討している。Dell EMCのサービスでも運用しているシステムの情報がDell EMCに集まり「そろそろ壊れるよ」とか「そろそろサーバーの追加が必要だよ」など対応すべき事柄を教えてくれるサービスがあればいいと考えている。また新しい技術を導入する際には、ベストプラクティスの情報があるとないとでは大違いなので、そのような活用状況の情報が提供されることも期待している。
ユーザーの声
システムの質を落とさずやりたいことを実現できたのはデルのサポートのおかげです。ひやひやする障害の場面でも、信頼に値するPowerEdgeサーバーなら安心して任せられます。
インフラ基盤
マネジメント部長
影山 恵邦 氏
特許取得のスマート冷却[マルチベクタークーリング]で、高密度実装を実現。 | 業界屈指のフラッシュストレージ搭載は、HCI時代を見据えたサーバーの設計思想を体現。 | ランサムウェア時代のサイバー攻撃に備えた[サイバーレジリエント セキュリティ] | 前世代より4倍高速な管理プロセッサー[iDRAC9]で、リモートからストレスフリーなシステム管理をご提供 | 統合管理ソリューション[OpenManage Enterprise]は、お客様への徹底ヒアリングに基づきゼロベースで開発 |
詳細はこちら | 詳細はこちら | テクニカルホワイトペーパー ビジネスホワイトペーパー | SEによる詳細解説 iDRAC9デモ動画 | SEによる詳細解説
OpenManage Enterprise デモ動画 |
Line up
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Dell EMC PowerEdge R440 [2ソケット] [1U] [2.5”HDD] [3.5”HDD] [冗長電源] Platinum以外のインテル® Xeon® スケーラブルプロセッサー - R330の上位モデル、R640の下位モデル
- 仮想化などインテル® Xeon® スケーラブルプロセッサー
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Dell EMC PowerEdge R540 [2ソケット] [2U] [3.5”HDD] [冗長電源] Platinum以外のインテル® Xeon® スケーラブルプロセッサー - ファイルサーバー
- バックアップサーバーなど
3.5インチHDD最大14本搭載 -
Dell EMC PowerEdge R640 [2ソケット] [1U] [2.5”HDD] [3.5”HDD] [冗長電源] インテル® Xeon® スケーラブルプロセッサー - サービス基盤
- 仮想化基盤、NVMe
- 1UでのSDS/HCI
NVMe最大10本搭載(背面含む) -
Dell EMC PowerEdge R740 [2ソケット] [2U] [2.5”HDD] [3.5”HDD] [冗長電源] インテル® Xeon® スケーラブルプロセッサー - 大容量のサービス基盤
- 仮想化基盤、VDI/GPU
- SDS/HCI
GPU最大6基搭載
(ダブルワイドGPUは3基) -
Dell EMC PowerEdge R740xd [2ソケット] [2U] [2.5”HDD] [3.5”HDD] [冗長電源] インテル® Xeon® スケーラブルプロセッサー - 高性能/大容量のサービス基盤
- NVMe/GPU、SDS/HCI
- ビッグデータ、BI、深層学習
- NVMe最大24本搭載
- GPU最大6基搭載
(ダブルワイドGPUは3基)
2年前から研究員からニーズが増えてきた人工知能の機械学習や、深層学習に対応したシステムとしてGPGPUサーバーを大規模に導入しました。導入した機器を活用することで、ユーザーが個々で対処していたシステム構築のボトルネックを解消するとともに、大規模計算の結果が論文になるまでの進み方に大きな影響を与える全学共通基盤を構築できたと思います。