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  OpenManage Enterprise 新バージョンへの移行方法






みなさま、こんにちは。

PowerEdgeサーバーを複数台お持ちのお客様ではOpenManage Enterprise(通称OME)をお使いのお客様も多いのではないかと思いますが、2023年10月末に新しいバージョンである4.0というバージョンがリリースされました。
(OMEがどのようなものか、よく知らないという方はまずはこちらを読んでみてください。)

どのようなエンハンスがあったかは、詳しくはこちらのページにあるNew Features in OpenManage Enterprise 4.0の箇所をご覧いただければと思いますが、iDRACのパスワードローテーションやMFA対応といったセキュリティ周りの機能強化が図られている一方で、これまで意識的に追加する必要のあったOME-Services プラグインと CloudIQ プラグインがデフォルトでインストールされるようになり、またPowerEdgeの12Gサーバーがサポートから外れたといった点が4.0の特徴と言えます。

しかし、ここで表現されていないこととして、OME4.0はベースとなるOSがSUSE Linuxに変更されたという点があり、これによってOME3.xをそのままバージョンアップして4.0にするといったことができなくなっています。
OME3.xも4.0も仮想アプライアンスとして提供されている点は変わりませんが、OME3.xはベースとなるOSがCent OSで、いずれサポートの切れるCent OSをこのままOME3.xで使い続けるわけにはいかないと判断したのか、ベースとなるOSがこの4.0からSUSE Linux(根拠となる情報はこちらでOpenManage Enterprise is now based on common operating system SLES 15 SP4との記載があります。)になりました。
この辺りは現時点(2023年11月時点)でどういう判断があったのか確かな情報は得られていませんが、おそらくCentOSのサポート切れの影響を考慮しての話ではないかと思われます。

いずれにせよ、これから新規でOMEを立てようというお客様にとっては、OME4.xを採用するのが主流となっていくでしょうし、現時点で3.xをお使いのお客様にとってもいずれは4.xに移行が必要なタイミングが到来する可能性があると思いますので、4.0への移行について、今回触れておこうと思います。
なお、OME3.xがいつまでご利用いただけるのか、EoLがいつなのかが気にかかる方も多いと思いますが、現時点(2023年11月時点)ではまだ詳細がわかっておらず、今すぐに移行が必要という状況ではありませんので安心してOME3.xをご利用ください。


環境


今回はPowerEdge T150をOME3.10で監視している環境にOME4.0を準備し、OME4.0に監視を切り替えるといったことをやってみたいと思います。
切り替え後にOME3.10で使用していたホスト名とIPを継承して、OME4.0が正常に動作するところまでの手順をご紹介したいと思います。図示すると、以下のようなイメージとなります。


事前準備


OME4.0を導入する前に事前に確認すべき情報には以下のようなものがあげられます。

・OME4.0のサポートマトリクス

監視対象の機器がサポートされているかをよく確認しましょう。
上でも記載した通り、12GのPowerEdgeはサポートされておりませんのでご注意ください。
また、以前はサポートされていなかったPowerEdgeサーバーベースのHCI製品がサポート対象になっていたり、OMEのプラグイン機能のサポート情報が記載されていたりするので、これらを利用されたいお客様はマトリクスの内容をよく確認された方がよいかと思います。
OpenManage Enterprise 4.0 Support Matrix

・OME4.0ユーザーガイド

基本的な情報はこちらを参照するようにしましょう。
OpenManage Enterprise 4.0 User’s Guide

特に仮想マシンとしてのハードウェア要件については導入前には大事な部分となると思いますので、よく確認しましょう。
OpenManage Enterprise hardware requirements

今回利用するHypervisorはvSphereになりますが、Hyper-VやKVMを利用する場合のサポートバージョンについても記載がありますので、ユーザーガイドで確認しておくようにしてください。
vSphereに関していえば、vSphereは6.7以降のバージョンであればサポートされていることが確認できました。
Deploy in VMware vSphere

・OMEのサポート情報

OME3.xの情報も含め、OMEの情報がまとまったページになります。
OMEをたてるために必要なファイル類もここから入手することになります。
また、今回はOME3.xからOME4.0へのマイグレーションをする手順をご紹介しようとしていますが、OME4.0へのマイグレーションを行うためにはソースとなるOME3.x側のバージョンはOME3.10.xである必要があります。
OME3.xでもバージョンアップをしておらず古いバージョンを使い続けている方もいらっしゃると思いますが、3.10.xへバージョンアップするためのアップグレードパスについても書いてあるページになりますので、参考にしてください。
Support for Dell OpenManage Enterprise

このページは英語のページとなりますが、日本語ページに切り替えることができます。
ただ、英語ページの方が情報の更新が早いため、最新の情報を確認したい場合は、英語ページを見ていただくことをおすすめします。

・OME4.0のインストール用ファイル

OME4.0は仮想マシンとして動作することになりますので、各ハイパーバイザーに応じて必要なファイルを入手して、展開をしてください。
Support for Dell OpenManage Enterprise

今回私はvSphere環境に展開をするため、VMware ESXiと記載されている箇所からファイルをダウンロードしています。

OME4.0へのマイグレーションの流れ


作業の流れは以下となります。

① vSphere上にOME4.0を展開・構築
② OME3.10側で移行Out操作
③ OME4.0側で移行In操作
④ OME3.10の廃止、仮想マシンの削除
⑤ OME4.0へのホスト名とIPアドレス付け替え(3.10で使用していたホスト名とIPアドレスを付与)


OME4.0とOME3.10と操作する対象を切り替えながら作業していくこととなります。
今自分がどちらを操作しているのかを意識しながら作業するようにしましょう。

それでは手順をご紹介していきたいと思います。

① vSphere上にOME4.0を展開・構築

OME4.0の展開・構築手順はOME3.xとほとんど差がありません。
そのため、一つ一つの手順のご紹介は割愛したいと思いますが、こちらの記事でOMEの構築手順については記載がありますので手順を把握されたい方は参考にしてみてください。
以下ではOME3.xと異なる点だけここでは触れておこうと思います。

1. OME4.0のハードウェア

手順ではないですが、重要な点なので触れておきたいと思います。
実際に展開した後に実物で確認しましたが、以下のような結果でした。
左側がOME4.0のハードウェアの情報、右側がOME3.10のハードウェアの情報になります。(ともにデフォルト値)

OME4.0になってだいぶハードウェア要件が上がったと言える状況ですね。
これだとハードウェア要件が高くて管理VMにこれだけのリソースを割くのは嫌だと言われてしまいそうですが、ディスクに関してはシックではなくシンプロビジョニングが利用でき、CPUについては8vCPUとなっておりますが、4vCPUで動作させることができました。
上でご紹介したハードウェア要件が書かれたWebサイトを読むと記載されておりますが、展開された直後は最大リソースが割り振られているそうですので、使う機能に応じてリソースを最適化して使っていただくのがよいでしょう。
極端にリソースを減らしてしまうと、移行途中で先に進ませてもらえなくなりますのでご注意ください。


2. OME4.0のWeb管理画面への初回ログイン時

ユーザー名とパスワードを入力してログインすると以下のような画面が最初に表示されます。

OME4.0では、内部iDRACパスワード管理と・・・・・という箇所については、OME4.0から実装されたパスワード管理とそのローテーションに関する機能を有効化するかどうかという話になります。
表示されている画面でもわかる通り、OMEの有償ライセンスであるAdvanceやAdvance+ライセンスを使っていないと有効化しても機能しないので、これらライセンスをお持ちでなければ気にする必要のない項目となります。
私もライセンスはない状態でしたが、ここのチェックボックスはそのままに(有効化のままに)して先に進みました。

また、上の画面の2つ目の方では3.10.xからの移行なのか新規構築なのかを聞かれていますが、ここは上のチェックボックス(“3.10.xアプライアンス・・・”と書かれている方)を選んで、[完了]を押します。
すると、以下のような画面が表示されますが、OME4.0を触るのは一旦ここで停止となります。

② OME3.10側で移行Out操作

ここからは現在稼働中のOME3.10にログインして操作を行うこととなります。

1. Webブラウザを開き、OME3.10の管理画面にログインします。


2. 画面上部にあるバックアップ/リストアをクリックし、移行をクリックします。
次に移行Outにチェックを付けます。


3. 次の手順に従ってください、書かれている4つのステップをそれぞれ実施します。
ステップ1では証明書を指定します。

自己署名の証明書を使うことは全くおすすめできませんが、今回はテスト環境でのお試しなので、“自己署名証明書で続行”を選択して先に進めます。
お客様環境では、いわゆるオレオレ証明書である自己署名証明書を利用することは避けてください。
証明書をアップロードする手順についてはユーザーガイドのこのページに情報が書かれておりますので、参考にしてください。

4. ステップ2では移行先となるOME4.0の管理IPアドレス、管理ユーザー名とパスワードを指定し、[検証]を押します。
[検証]ボタンの右側に“成功”と表示されれば、OME4.0と接続ができているので、この状態で[適用]を押します。


5. ステップ3では暗号化パスフレーズを入力します(パスフレーズのポリシーに気を付けて入力をしましょう)。
これは後にOME4.0の管理画面上でバックアップファイルを復号化するために使用するために使用します。[適用]を押します。


6. ターゲットコンソールへのログインとあるので、移行先であるOME4.0の管理画面にログインすることになります。

画面の上部に“アプライアンスはMAINTENANCE_PENDING状態です。”と出ていれば、OME3.10の移行準備が整っている状態と言えます。
画面上部のデバイスというメニューから、監視対象として登録しているT150がどのように見ているかを一応確認してみましょう。

OME3.10で問題なくT150を認識して監視できている状態であるようです。

③ OME4.0側で移行In操作

①で構築済みであるOME4.0の管理画面に再びログインしましょう。

1. Webブラウザを開き、OME4.0の管理画面にログインし、画面上部のメニューからバックアップ/リストアをクリックし、移行をクリックします。


上の画面でOME4.0のバージョン情報がわかるようにしておけばよかったのですが、“送信元コンソールで移行Out(エクスポート)のプロセスに従っていることを確認します。”と表示されていることがわかる通り、OME3.10がデータを移行しようとしてOME4.0に接続しに来ていることが見て取れます。
ここでは3つのステップがありますが、ステップ1ではOME3.10と同様に自己署名証明書を使用するので、“自己署名証明書で続行”にチェックを入れます。

2. ステップ2では移行元であるOME3.10の管理IPアドレス、管理ユーザー名とパスワードを入力し、[ソースアプライアンス証明書の信頼]をクリックし、[接続の検証]をクリックします。


3. ステップ3ではOME3.10からデータをインポートします。
②の5で入力した暗号化パスフレーズと同じものをここで入力します。[インポート]を押します。


4. インポート操作の画面で各種ライセンス規約同意する必要があるため、内容を確認してそれぞれ同意をしてください。


5. ライセンス規約に同意した後は移行画面に戻ります。
画面上部の監視メニューの中から監査ログを表示してみてみると、ジョブの進捗状態を確認することができます。
”移行(イン)操作が開始されました。“と表示されていれば、移行処理が進んでいます。

しばらく以下のような画面が表示されたまま、移行処理が続きます。


6. 私の環境では20分弱待った後、以下のようにログイン画面が表示されました。

OME3.10側はどうなっているのか、ログインができるのかを確認してみましょう。

ご覧の通り、OME3.10の方は画面が黒っぽくなり、画面の真ん中あたりには“このアプライアンスは廃止されました。アプライアンスをシャットダウンしてください。”と表示されています。
なお、ユーザー名とパスワードを入力することができるので、これらを入力するとフル動作モードにリストアしますか?と聞かれます。
無事に移行ができていることが確認できれば、OME3.10をリストアする必要はないと思いますが、OME4.0の動作がおかしかったり、データが正しく移行できていなかったり、そのような場合にはリストア操作を行う意味はあるかと思います。

7. 再びOME4.0に戻りますが、ログインしてみます。

ご覧のようにOME3.10からログも含め引き継がれています。
画面上部には“ジョブのインポートが正常に完了しました。”と表示されている通り、正常に移行ができたようです。

監視対象のデバイスの状態も見てみましょう。

問題なく登録されており、正常にモニタリングできている状態のようです。
②の6でご紹介したOME3.10の管理画面とほぼ同じ(“ジョブのインポートが正常に完了しました。”というメッセージが表示されているかいないかの差くらい)です。

④ OME3.10の廃止、仮想マシンの削除

OME3.10については③の6の箇所で見ていただいた通り、サーバーは起動しているもののもう停止が可能な状態ですので、仮想マシンの停止操作を行ってください。
仮想マシンの削除は即時実行する必要はありませんが、一連の作業と動作確認が済み、もう動作させる必要はない、と判断できてから削除を行いましょう。

⑤ OME4.0へのホスト名とIPアドレス付け替え(3.10で使用していたホスト名とIPアドレスを付与)

この作業は必須とは言えませんが、OME3.10で使っていたホスト名とIPアドレスをOME4.0に引き継がせて使いたいというケースも少なからずあるのではないかと思います。
そのような場合は、OME3.10を停止した後にOME4.0の画面を直接操作して、ホスト名とIPアドレスを変更しましょう。
特にホスト名やIPアドレスを継承させる必要がない場合は、この操作は不要です。



おわりに

OME3.10からOME4.0への移行手順のご紹介は以上となります。

ちょっと試してみたところ、全くハマることもなくすぐにできてしまったので拍子抜けしましたが、Cent OSベースのOMEからSUSE LinuxベースのOMEに変わるだけでOME自体が大きく作り変えられているわけでもないので、移行の敷居は高くないのかもしれません。
ただ、ケースによってはうまくいかなかったり、予期しないことが起きたりがあるかもしれません。
OME4.0が出たからいきなり使うという方は多くはないと思いますが、いずれ移行しなければならない状況になった時にちゃんと移行できる方法がある、というのを知っておいていただきたかったので、今回このような記事を作ってみました。
いずれ移行しなければならない状況、というのはDell TechnologiesからOME3.xのEoLが発表されてからになると思いますが、その時にはOME4.0も4.0以降のバージョンがリリースされて、移行方法や移行可能なバージョンの選択肢も増えているかもしれません。
移行を計画する時が来たら、弊社のエンジニアにご相談いただいたり、サポートサイトにあるドキュメント類やKBを参照いただいたりしながら、移行をご検討の上、作業を行っていただければと思います。

本記事が皆様のお役に立つことがあれば嬉しく思います。

今回は以上となります。ありがとうございました。


パートナーセールスエンジニア 川奈部 真



 

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