APC PowerChute Network Shutdownによる電源管理　～UPSの選定とHCI対応の概要～

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	～UPSの選定とHCI対応の概要～

VxRail用Dell UPSはこちらもご参照ください。

システムの導入において、サーバーとストレージ、ネットワークの構成はできても意外とよく分からないのが電源管理についてではないでしょうか。これから数回にわたり、無停電電源装置（UPS）の基礎から電源管理ソフトウェアAPC PowerChute Network Shutdown（PCNS）による仮想環境への対応について、さらに、具体的なシステムでの構成例を挙げ、電源障害時のシャットダウンシナリオに基づいた設定やポイントを紹介していきます。

今回はイントロダクション編として、まずは、停電時や万一の電源障害に備えて、UPSの選び方と電源管理ソフトウェアPCNSの概要について説明します。後半はPCNSの仮想環境への対応に加え、最新バージョン4.3の新機能とDellの各HCIアプライアンスおよびHCI Ready Nodeへの対応について紹介します。

（１）UPSのタイプと容量の選定について

サーバーの最大消費電力に対して余裕をみた電源容量のUPSを選びます。UPSの給電方式には「常時商用」、「ラインインタラクティブ」、「常時インバーター」がありますが、企業のサーバールーム用の設置には価格と信頼性のバランスがとれた「ラインインタラクティブ」がお薦め。忘れてはいけないのが、バッテリー運転時間について。ランタイム時間やバックアップ時間とも言われますが、停電時でも安全にシャットダウンを実行して完了させるまでの電源供給時間を意味します。

つまり、UPS容量の選定にはサーバーの「最大電力」とシャットダウンに必要な「バックアップ時間」を満たすことがポイントになります。

（２）PCNSの機能と基本動作

PCNSはネットワーク経由で常時UPSを監視し、停電などの電源に異常が発生した際には、設定したルールに基づいて自動的にシャットダウンを実行します。UPSはバッテリー運転に切り替わり、電源障害が発生している間でも電力をサーバーに供給し続けるため、いわゆるダーティーシャットダウンが生じることはなく、システムを安全にシャットダウンしデータロストの危険性を回避することができます。PCNSの操作や監視はWebブラウザーを経由して様々な端末からいつでもアクセスが可能です。

（３）PCNSのライセンスについて

PCNSはUPSの台数にかかわらず、シャットダウンするサーバーの数のライセンスが必要です。サーバーの数とは物理サーバーの数ではなく、ノード数でカウントします。また、仮想環境における仮想マシンの数はカウントしません。

（４）仮想環境に対応

PCNSは仮想環境にも対応しており、電源障害の際にはクラスターの制御や仮想マシンの停止を適切な順序で実行します。特にHCIでは、管理ツールとPCNSが直接通信を行って連携し、処理と制御を完全に自動化します。

（５）Dell HCIアプライアンス、HCI Ready Nodeへの対応

PCNS v4.3は主要なHCIをラインアップしたDellアプライアンスサーバーと動作検証済みです。

（６）PCNS v4.3/v4.4の新機能

PCNS v4.3およびv4.4（最新版）でHCIの対応を強化し、VMware vSAN、Nutanix、Microsoft Azure Stack HCIの自動シャットダウンの設定が可能になりました。セットアップもウィザードにより簡単に行うことができ、シャットダウンのためのスクリプトが不要です。また、複数UPSのグループ管理機能により、vSANのFTT（フォールトレーランスしきい値）に応じたシステム運用にUPSも連動させて対応させることで、HCIとの親和性を高めて電源障害の対策ができるようになりました。

さらに、SSHアクションによるストレージ制御の機能を強化し、カスタムコマンドプロンプトの設定が可能になりました。ユーザーによる任意のプロンプト設定により、ストレージ機器をはじめ、リモートログインが可能なあらゆるデバイスに対応します。

電源管理の対策としてUPSの選び方のポイントからPCNSによるHCIシステムの電源管理の概要と新しい機能についてざっと説明いたしました。次回以降、各HCIに対応した構成ガイドとして、セットアップからシャットダウン設定の手順を紹介し、UPSとPCNSによる電源管理の理解をより深められるコンテンツを順次公開していきます。

HCIに対応したPCNSによる電源管理ソリューション

[構成ガイド]
#1 S2Dでの構成とポイント
#2 vSAN Ready Node構成
#3 2 node vSAN構成
[実践編]
#4～　Dellアプライアンス製品への対応

※関連参考リンク
Dell EMC Smart UPS powered by APC
https://japancatalog.dell.com/c/network-management-card/

シュナイダーエレクトリック株式会社
出口　健太郎
冨田　哲理
最終更新：2020/10/26